獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 熱意に絆されたわけではないが、もし仮に彼の言葉が事実なら舞台上を駆けるヴィヴィアンが見られる、そんな好奇が過ぎった。
「……いいだろう。ヴィヴィアンが代役の公演開催を認めよう」
 そんな思いに衝き動かされ、俺は博打のような公演を容認していた。
「ただし、この決定はお前自身にもそれなりの責任が伴うこと、承知しているのだろうな?」
 報告を受け、俺が認めた。だから責任は全て俺にある。その上であえて試すように質したのは、支配人の覚悟が知りたかったからだ。
「重々、承知の上でございます」
「そうか。では開幕に向けて劇団一団となって励めよ」
「はい!」
 俺は支配人に言い置き、食事の席に戻った。
「なんだマクシミリアン、ヴィヴィアンが戻ってきたんじゃなかったのか。あいつは一緒に食わんのか?」
 席に戻った俺に、ガブリエルが空席を横目に見ながら首を捻った。
「ヴィヴィアンは大役を担うことになり、とても飯どころではなさそうだ」
「なんだそれは」
「失礼いたします」
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