獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 内心の高揚をひた隠しぞんざいに答え、ヴィヴィアンに向かってズイッと尻尾を差し出した。
「え! では、ちょっとだけ失礼して……」
 ヴィヴィアンは俺の尻尾の根元のあたりに手を当てると、先っちょに沿ってスルスルーっと撫で上げる。
 グッ!! ヴィヴィアンの手で撫でられると、体中に鋭い電流が走り抜ける。
 ハミルは、全身の痺れを呼吸と共に必死で逃がす俺の姿を見て、クスクスと肩を揺らしていた。
 ……まったく。ついこの間までほんの甘ん坊だったくせに、ずいぶんと逞しくなったものだ。
「うわぁ~っ! やっぱりマクシミリアン様の尻尾って物凄くモコモコ! 本当に夢のような触り心地です!!」
 ゥグッ!! すっかり肝の据わったハミルを尻目に、再びヴィヴィアンに尻尾をシュルリと撫で上げられてブルリと体を震わせた。

***

 準備が整ったとの報告を受けて、私は離宮の正面玄関を飛び出した。
「お待たせしました……っ、えっ!? なんですかこの立派すぎる帰還の隊列は……!」
 目にした瞬間、思わず叫んでいた。
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