獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 ここで内心大混乱の私に、ガブリエル様がニンマリとした笑みを向ける。
「そうそう、ヴィヴィアンよ。マントのことなら、お前にやったつもりでいるから気にするな。マントの中身については、……皇宮に戻ったらじっくり話し合おう」
 ウッ!! 特大の爆弾を投下された私は白目を剥いて、心を遠くに飛ばした。
「なにを訳の分からないことを言っている!? そんなことより、なぜここにいる? 帰国したのではなかったのか!?」
「あぁ、ずっとヴィットティール帝国内をふらついていたさ。観光しつつ、一連のお家騒動の行く末をとっくと眺めさせてもらったぜ。お互い、身分を隠しての放浪はお手の物だろう?」
「なんて奴だ……」
 ガブリエル様はヒョイと肩をそびやかし、閉口するマクシミリアン様にちょっと悪い笑みで続ける。
 私はなんとか心を引き寄せると、問題事を一旦脇に置き平静を取り繕った。
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