獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
「実を言うと、アンジュバーン王国では、ヴィットティール帝国との国交正常化の意思はもうほとんど固まっていたんだ。で、唯一ネックになってたのが、お前のゴタゴタした身内だ。俺のところにも皇太后から折に触れて、返答に困る内容の親書が届いていたからな」
「……皇太后はアンジュバーン王国まで巻き込んで、そんな無節操な行動を取っていたのか」
 聞かされたマクシミリアン様は、こめかみに手をあてて渋い表情を浮かべた。
「帰る振りをして状況を見てたわけだが、どうやら無事膿みも出しきってさっぱりしたみたいだからな。改めて国交正常化の調印にやって来たってわけだ。それからマクシミリアン」
 ここでガブリエル様はチラリと私に流し目を寄越す。ビクンッと肩を跳ねさせる私に彼はフッと口角を緩め、再びマクシミリアン様に向き直ってその耳元で何事か囁く。
「彼女を妃に望む想いは俺も同じだ。正々堂々、決着をつけようじゃねぇか」
< 294 / 320 >

この作品をシェア

pagetop