獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
「人望いかんについては俺の口からは言及を避ける。が、財務大臣の報せによると緊急で帝国議会が開催され、かつてないスピードで処分決定となったそうだ。もっとも、あれだけ証拠があがっていては言い逃れる隙も無いからな。なるべくしてなった結果と言えるだろう」
「そういやお前は、昔からちまちまと人の揚げ足を取るようなねちっこい性格をしていたよな。真っ向勝負で粗だらけのふたりがいっそ可愛く思えてくるな」
「ハッ! 入念、あるいは用心深いと言ってくれ」
 道中で、マクシミリアン様が何度となく鷹を飛ばしているのを目撃していたが、まさか財務大臣とこんな重要な事案をやり取りしていようとは。
 とにかく、帰還の行列は想像も及ばない熱い歓声と祝福を受けながら、ゆっくりと皇宮を目指して進んだ。
 さらに晴れ晴れしい帰還に際し、もうひとつ衝撃的な事実があった。
 なんとマクシミリアン様は、もう頭上にターバンをたなびかせてはいなかった。しかし国民から不満の叫びなどひとつとしてあがらない。
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