獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
ちなみに、ハミル殿下が認めた帝位継承権放棄の証書は、財務大臣によって議会に掛けられる前に保留の対応が取られている。だから、ハミル殿下の身分はいまだ皇弟のままだ。ゆえにマクシミリアン様も、ハミル殿下の処遇については、この場で一切言及をしていない。
とはいえ、帝位継承権放棄の訴えは他ならぬハミル殿下本人の強固な意志によって、遠からず受理されるだろう。
「ふふっ、やだなヴィヴィアン。僕はもう『殿下』じゃないよ。……ほんの小さい頃はお母様に囁かれるまま、いずれ『陛下』と呼ばれる日がくることを夢見たこともあったけど、それも今は遠い昔の話さ」
ハミル殿下……いや、ハミル様の小さな声は周囲のざわめきにかき消され、私の耳にしか届いていない。
「僕は今、まざまざと思い知っているよ。……あの場所に立つのに、僕では役者不足だ。あの場所は、マクシミリアン陛下にこそ相応しい」
とはいえ、帝位継承権放棄の訴えは他ならぬハミル殿下本人の強固な意志によって、遠からず受理されるだろう。
「ふふっ、やだなヴィヴィアン。僕はもう『殿下』じゃないよ。……ほんの小さい頃はお母様に囁かれるまま、いずれ『陛下』と呼ばれる日がくることを夢見たこともあったけど、それも今は遠い昔の話さ」
ハミル殿下……いや、ハミル様の小さな声は周囲のざわめきにかき消され、私の耳にしか届いていない。
「僕は今、まざまざと思い知っているよ。……あの場所に立つのに、僕では役者不足だ。あの場所は、マクシミリアン陛下にこそ相応しい」