獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 私はマクシミリアン様の居室で、あくせくとベッドメイクに励んでいた。
 無礼講の記念日だろうと、近習の仕事というのは年中無休。さらに不可抗力とは言え、私は無断で五日もマクシミリアン様の側を離れてしまったのだ。
 失った信頼を取り戻さなくっちゃ!と、作業する手にもいつも以上に力が入った。
 気持ちよく眠りについていただけるよう思いを込めて、優に四、五人は寝転がれる特大サイズの寝台にパリッと糊が利いたシーツを広げ、皺が残らないようにしっかりと端を折り込んで整えていく。
「うん、これでよしっ!」
 シーツを敷き終えてひと息ついていたら、背後からヌッと影がかかった。
 驚いて振り返るのと、大きな手のひらでグッと腰を抱き寄せられるのは同時だった。見上げた視線の先には、大臣らと緊急会談を行っているはずのマクシミリアン様がいた。
「マクシミリアン様! おかえりなさいませ、ずいぶんとお早かったですね。すみません、まだ寝台を整えているところで、もうすぐ終わりますので」
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