獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
「ハッ! なにを血迷っている!? 何故俺がヴィヴィアンをお前に譲らねばならんのだ!」
「我が国からの麦の支援に謝意を表し、礼として俺に寄越せ!」
 ガブリエル様はまさか、返礼に私を所望した。
 ……私、返礼品にされちゃうの?
 戸惑う私を余所に、ふたりはバチバチと火花を散らし一触即発の様相を呈していた。
「ほざけ! 麦の礼にヴィヴィアンを寄越せとは、それこそ一国の王にあるまじき発言だ! 恥を知れ!
「なーにをー!」
 取っ組み合いの喧嘩でも始めそうなふたりを言葉を失くし、呆然と立ち尽くす。
 しかも信じ難いことに、喧嘩の原因はまさかの私だ。
「ちょ、ちょっとおふたりとも落ち着いてください……!」
 とにもかくにも、このいきり立った空気をなんとかしようと声をあげた。
 次の瞬間、ふたりはギンッと私を振り返り、揃って口を開いた。
「「ならばヴィヴィアン、お前が選べ!!」」
 え!? ふたりは目を白黒させる私に向かってズイッと右手を差し出し不条理な選択を迫る。
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