獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 この瞬間の歓喜は、言葉では言い表せぬほどに大きかった。まるで天使に祝福のシャワーを注がれているかのように、心と体がふわふわした。
 ついに、ヴィヴィアンの手が俺の手を取……ん?
 ところが、俺の手を取ると思われたヴィヴィアンの手は何故か俺の手を素通りし、その横で緊張気味に揺れる尻尾を掴んだ。
 ッ!! 尻尾を原発に、ビリビリとした痺れが全身に走り抜ける。
 ……っ、いかん!
 なぜヴィヴィアンが突然尻尾に手をかけてきたのかは分からんが、こうもガッシリと握り締められては……!
 全身がカッカと熱を持ち、心臓を破りそうな勢いで鼓動が打ち付ける。油断すればヴィヴィアンへの愛を叫んで抱き潰してしまいそうになるのを、必死に速く細切れの呼吸を繰り返すことでなんとか堪える。
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