今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
「俺、実は礼也が新山ちゃんのことを無理矢理家に連れ込んでるんじゃないかとちょっと心配してたんだよね。でも、今回の件で平気そうだなって思った」
「…………。無理矢理に連れ込んだりなんか、しない」
「そうなんだけどさ、新山ちゃんにとっては礼也って上司だろ? 提案されたら断りづらいのは事実だろ?」
高塔の指摘に、相澤は黙り込んだ。そんな相澤を見つめ、高塔はふっと口元を緩める。
「新山ちゃんが祓除師の修行をしたいって言い出したときに、この子は礼也のことが本当に心配なんだろうなって感じた。で、この前は危険を侵してまで礼也の元に駆けつけたのを見て、確信した」
高塔は再び酒を飲み干すと、相澤のグラスにも注ぐ。
「まあ、半妖と人間だと大変なことも多いと思うけど、あの子なら大丈夫なんじゃない? 悠翔のこともすごく可愛がっているし、そもそも礼也の両親なんて純粋な狼神と人間だったわけだし」