i -アイ-
でも、ノックしても反応はなく、仕方なく扉を開き、声だけ届くようにする。
「碧さーん」
少ししてシャワーの音が止まり
「藍人?」
そう返答が返ってきた。
「夕ご飯作りますけど、碧さんも食べます?」
「ああ、お願いしたい」
「分かりました」
ご飯を炊く時間はないから、和風パスタを作る。
若干だが、碧さんは洋食より和食の方がテンションが上がる。
お浸しを最初に作って冷蔵庫で冷やしながら、お吸い物なども作る。
戻ってきた碧さんは前髪があって、いつもお風呂上がりは少し幼くなる。
「良い香り」
ほらね。
声のトーンが少し上がる。
「碧さんって和食が好きなんですね」
「うん。よく分かるね」
出会った当初より、顔色が良くなってきているのは気のせいだろうか。
眠れるようになっているらしいし、あたしが通う効果が出てるんだろうか。
「碧さんって、外ではもっとこう、男らしい感じじゃないですか。どっちが素なんです?」
食べながら聞けば、
「藍人はどっちの方がいい?男らしい感じの方がいい?」
ダメだ、答えてくれないのか。
「ふふ、そんなにあからさまに顔を顰めないでくれよ。藍人だって、色んな顔を持っているじゃないか」