今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「こんなところにいたんですか……!?」

彼が私を呼び出したのは、医局のある入院棟の屋上。

もう三月とはいえ、夜はまだ冷える。屋上は風が強くてとても寒い。

なのに彼は白衣一枚。この人、なにを考えているのだろう、風邪を引いちゃうじゃない。自暴自棄なの?

「もしかして、電話もここからかけていたんですか」

電話口の向こうが妙に静かだと思ったら野外だったなんて。

彼は手すりの前に立ち、階下の夜景を見下ろしながら笑った。

「五分程度なら大丈夫。頭が冷えてちょうどいいんだ」

これもあるしね、と言って缶のカフェラテを掲げる。封は開いていないようだ。飲むというよりは、カイロ代わりなのだろう。

「医者の不養生って知ってます? せめてもう少し暖かい休憩場所はないんですか?」

「ずっと屋上にいるわけじゃないよ。でも、ひとりになりたいときはここが一番。それに――」

私が彼のそばに近寄ると、もっとこっちへ来いとばかりに腕を引き寄せられた。

あっという間に彼の目の前。手を伸ばせばいつでも抱き締め合える距離にいる。
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