今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「堕ろすつもりはありません。私自身、お見合いをお受けするつもりはありませんでした。母が紛らわしい態度を取って本当に申し訳ありませんでした」

『ひどいなぁ。私は結構、杏さんのことを気に入っていたのに』

「……私の、どこを……?」

『顔と体です。女性は美しさがすべてと申し上げましたよね?』

「私、そこまで美人ではないと思うんですけど……」

『とびきりの美人がいいというわけではないんですよ。杏さんの謙虚で清廉な美しさが好きなんです』

気味の悪い褒められ方をされて複雑な気分になる。これは喜んでいいものだろうか。

『それに、女性を見た目で選ぶくらいのワガママは許される程度に稼いでいますから』

……やっぱり喜べない。そういうことを悪びれもせず言っちゃうあたりが嫌われるってわからないのだろうか。

「堕ろすつもりも、長門さんと結婚するつもりもありません。どこで調べたかは知りませんが、直接電話してこないでいただけますか?」

『まずは顔を見てお話ししませんか? こういうのはどうでしょう、あなたがお住まいのマンションの一階にあるカフェでお話しするというのは。ちょうど今ブレンドを頼んだところなのですが、なかなかにおいしいですよ』
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