今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
病院に行かせるよりは、私が直接会って話を聞いたほうがマシかもしれない。

もしも悠生さんや患者さんに危害を加えるようなことがあったら大変だ。この人なら、やりかねない気がしてきた。

「……やめてください」

『コーヒーを飲み終わるまで、十分といったところでしょうか。それまでに来てくださるなら、彼氏のお顔を拝見するのはまた今度と致しましょう。それから、くれぐれもひとりで来てくださいね。でないと、私も手段を選ぶのをやめますから』

最後にひとつ脅しをかけたあと、ブツッと通話が切れる。私は急いで携帯端末と鍵を持ってマンションの一階に向かった。

エレベーターを出てセキュリティゲートを抜けると、そこから先は居住者以外も経ち入れる空間。周囲をうかがって警戒しながらカフェに向かう。

カフェの入口で「待ち合わせです」とスタッフに伝え、フロアに入れてもらうと、窓側のボックス席に見覚えのある男性が座っていた。

「ああ。杏さん。早かったですね。お久しぶりです」

強めのストライプでエッジの利いたスーツ。背は高く細身で眼鏡をかけていて、髪はオールバック。いかにもインテリですといった印象の男性だ。
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