今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
彼が女性に対してフレンドリーなのはいつものこと、愛想のよさはもはや条件反射レベルだ。取り立てて気にするようなことじゃない。

でも、なぜだかこのふたりの写真には心が乱される。

悠生さんが他の女性と楽しそうに話しているのがこんなに嫌だと感じるなんて。

これはもしかして独占欲? 私は嫉妬しているのだろうか。

「あまりワガママを言っていると、捨てられてしまうかもしれませんよ。あなたの代わりはいくらでもいるんでしょうから」

「それ……は……」

長門さんの言う通り、彼と結婚したい女性なんていくらでもいるだろう。

もし私ではなく別の女性が先に妊娠していたら、その女性と結婚していただろうか。……うん、きっとそうだ。

なんの言い訳もできずうつむいていると。

正面のほうから絨毯を踏み鳴らす鈍い足音が聞こえてきて、私たちの席のすぐ近くで止まった。

「好き勝手言ってくれるね」

響いてきた声に、私は驚いて顔を上げる。

長門さんの斜めうしろに立つ男性――スーツ姿のその人は、今、ちょうど話題にあがっていた人で――。

「悠生さん!?」

どうしてこんなところに!? 唖然として見上げると、悠生さんは私のもとにやってきて腕を引いて立ち上がらせた。
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