今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
悠生さんは私を庇いながら、長門さんに厳しい目を向けて威圧する。

「子どもも仕事も、すべてを手に入れてなにが悪い? 彼女には宝物が増えた、ただそれだけだ」

長門さんはもう反論することはなかった。ただ悔しそうにチッと舌打ちして視線を外す。

「ああ。それと」

悠生さんは長門さんに背を向けて、淡々と言い置く。

「先日、彼女の携帯端末を新規契約したんだけれど、そのキャリア会社の幹部に知り合いがいてね。彼女のデータを不正に持ち出した人間を洗い出してもらっているところだ。今は情報がすべて電子管理されているから、持ち出せば痕跡が残るし、閲覧した人間もすぐ特定できることだろう。個人情報を漏洩したとなればただでは済まない。もちろん、犯罪目的で情報を受け取った側も、ね。すぐに相応の処分が下ると思うよ」

長門さんが今度こそ蒼白になって沈黙する。

悠生さんは私の肩を抱いて、カフェをあとにした。


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