今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
妊娠が発覚して二カ月足らず、週数で換算すれば、赤ちゃんはすでに十二週――妊娠四カ月目に突入したところだ。

これまで、会社には妊娠のことを黙っていた。

無意識のうちに怯えていたのだと思う。嫌な顔をされるかもしれない、今携わっている企画を外されるかもしれないと。

けれど、自分らしく堂々と、妊娠も仕事も向き合っていきたいと思うようになって、私は妊娠報告に対する恐怖心が和らいだ。

今日、思い切って上司に報告しようと思う。

私の勤める出版社『ブリリアントパブリッシング』は、都心の主要駅からほど近いオフィスビルの六階から十階に本社を構えている。

私の席は七階にあるが、そのとき携わる企画によって席も変わる。ライターは特に複数の企画をかけ持つことが多いので、フリーアドレス制に近い。

出社した私は自席に荷物を置いて、さっそく直属の上司となる泉河(いずみかわ)さんを呼び止めた。

四十代中盤の男性で、主に人材の采配やスケジュール管理を任されているが、ライターや制作の立派なキャリアも持っていて、各メンバーのフォローなどもこなしている。

社内でも一目置かれる、強い影響力を持った人物だ。
< 189 / 275 >

この作品をシェア

pagetop