今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「むしろ、いつも夕食の支度を頼んでゴメン」

「いえ、早く帰ってくるのは私のほうが多いですから」

彼は帰宅が早いか遅いかはっきりと分かれていて、早いときは冷蔵庫にあるあり合わせの材料を使ってパパッと夕食を作ってくれる。俗にいう男飯ってヤツだ。

とはいっても、大抵は遅くまで働いていて、私が帰ってくるほうが早い。必然的に、夕食の支度は私の仕事になる。

「杏は頑張りすぎだと思う。もっと適当でも……あ、でも栄養だけはきちんと取ってね」

私のお腹に目線を定めてそんなことを言う。

「栄養は充分すぎるくらい取っています」

思わずクスクスと笑みをこぼす。体重は順調に増加中だ。

これまで、夕食をあまり食べなかったのは私も同じ。ふたりの生活が始まり、三食きっちり食べるようになったら、健康になりすぎてしまった。

「言っておくけど、お腹にもうひとりいるんだからね? 体重が増えるのは普通だよ?」

「……太り過ぎないように気をつけます」

体重を増やし過ぎて産婦人科の先生に怒られないようにしないと。

そんな心配をしなければならないほど、彼との食事はしあわせで、ついつい食べ過ぎてしまうのだった。


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