今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
二年の研修を終えると、父親から実家に戻ってこいと催促された。

同時に見合いを続々と持ちかけられ、うんざりすることとなった。

せっかく循環器の治療で名高い須皇総合病院で研修をさせてもらっているのだ、引き続き専門分野を学びたい。なにより見合いは嫌だ。

うちの両親はお見合い結婚で、今でもとても仲が悪い。

それを見て育った俺が見合いという出会い方に嫌悪感を抱いても不思議ではないだろう。

父の命令に背き、須皇総合病院で医師として勤務を続け、ときにはフラッと海外に留学し、のらりくらりと見合いの話を断り続けること、六年。

三十二歳になる頃、プレッシャーをかけられるかのように、見合い相手の女性が須皇総合病院に派遣されてきた。

西園寺家が経営する病院に勤めていた女医だ。わざわざ俺を迎えに来させられたと聞き、これ以上は逃れられないと悟った。

あきらめて見合いを受けるか? いや、ここで妥協する選択肢はない。

かといって自力で相手を探そうにも、結婚したいと思えるような女性が簡単に転がっているわけがない。

そもそも俺は、どんな女性とならば結婚したいと思える?
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