今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「悠生さんって、ときどき褒めているのか、からかっているのか、わからなくなります……」

「両方かな。君の怒った顔も笑った顔も見たい」

彼女の感情を操っているのが自分であることがうれしい。

彼女を楽しませるのも、悲しませるのも、全部自分でありたいと思う。究極の独占欲かもしれない。

「俺の言葉で君の表情がコロコロ変わっていくのがかわいくて仕方がないんだよ」

「悠生さんって本当に意地悪」

「否定はしない」

深く唇を奪って、わざと彼女が困るように仕向ける。彼女の言う通り、やはり俺は性格が悪い。

とはいえ、手を出せずに苦しむのはこちらなのだから、本当につらいのは俺のほうだ。

「でもね。俺の感情を左右しているのも、君だってことを忘れないよーに」

弄ばれているのはこちらのほうだ。本人はまったく気づいていないけれど。

真っ赤に染まった彼女の頬を撫で、その瞳がとろけるまで見つめていてあげようとささやいた。


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