今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
エピローグ
出産して三カ月が経ち、季節はもう春、三月の半ばだ。たっぷり悠生さんに甘やかしてもらったこともあり、体は復調し、鬱状態も脱した。

保育園申し込みの狭き枠を勝ち取ってなんとか預け先が決まり、来月から職場復帰を果たす。

今日は会社の同僚の結婚式。柚姫のお世話もあって欠席しようか悩んだけれど、悠生さんに「行っておいで」と背中を押され出席することにした。

柚姫にとっては、母親と丸一日離れるのは初めての体験だ。悠生さんがいてくれるとはいえ、いつも一緒にいる私の姿が見えないのは心細いだろう。

「たまには羽を伸ばしておいで」と言われ、「よし! 今日はひとりを満喫するぞ!」と勢いよく家を出たのはいいけれど。いざ、子どもと離れると不安になってしまったのは私のほうで。

なんだか落ち着かない。久々に人と会ってお話するのは楽しかったけれど、頭のどこかで「柚姫は大丈夫かなぁ~」なんてずっとそわそわしていた。

帰ってくると、柚姫はすでに就寝。二十一時――この時間が一番ぐっすり眠ってくれる時間帯だ。といっても、四時間程度で目を覚まして泣きだすのだけれど。
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