今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
まさか口説こうとしているの……? いや、気のせいよね。初対面で口説かれるほど私はかわいくもない。

しかし、私たちの様子を黙って見守っていた眞木先生ですら同じ疑念を抱いたらしく、ため息をついた。

「こらこら西園寺先生。彼女、仕事で来ているんだから。いきなり口説くとかやめてくれよ」

「やだな、名前を褒めただけじゃありませんか」

「そうやって何人の女性をたぶらかしてきたんだい? 君にその気がなくても、女性は勘違いしてしまうよ」

眞木先生が苦笑する。やっぱりこの先生、男性の目から見ても軽薄なんだ……。変に納得してしまった。

「心配していただかなくても悪いことはしませんから。もう戻ってくれてかまいませんよ」

西園寺先生が眞木先生をしっしっと手で払いのける。

「なんか妙に俺を追い払おうとしてない? 俺がいなくなった途端、羽目を外したりしないでくれよ?」

「初対面の女性相手に失礼なことはしませんって」

眞木先生は胡乱気な目で西園寺先生を睨んだ。

「というか、厳密には初対面ではないと思うぞ? あのとき――」

「眞木先生」

西園寺先生が眞木先生に微笑みかけた。まるで言葉を遮ろうとでもするかのように、妙ににっこりと。
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