今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「後輩の指導に行くんじゃありませんでしたっけ? 早く行ってあげたほうがいいのでは?」

「あ、ああ……そうだった」

眞木先生は額に手を当ててしまったという顔をする。

「じゃあ、西園寺先生、あとは頼むよ?」

西園寺先生の肩に手を置いたあと、眞木先生は私に向き直る。

「ごめんね、白雪さん。俺、いかないといけなくて。こんな調子の先生だけど、取材にはちゃんと応じてくれると思うから」

「は、はい、ありがとうございました」

ちょっぴり不安を覚えつつも、これ以上は手をわずらわせないようにと笑顔で見送る。

眞木先生は渋々といった顔で立ち去っていった。

ふと視線を戻せば、西園寺先生がにこにこと私を見つめている。

なにかを企むような意味深な笑みを向けられドキリとした。

そういえば、さっき眞木先生が変なことを言っていたっけ? 初対面ではないんじゃないかって。

でも私は、この病院の心臓血管外科にお世話になったことがないし、見覚えもない。接点が見つからない。
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