今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「あの……初対面、ですよね?」

「うん。初対面だよ」

あっさりと頷く彼。なんだ、やはりそうなのかと肩を落とす。

まぁ事実はどうであれ、お互い初対面と思っているのだからそれでいいだろう。

「では、早速なんですが――」

私は肩がけバッグの中から手帳とペンを取り出した。

せっかく取材をOKしてもらえたのだから、手間を取らせないようにしっかり進行しなければ。

「取材のスケジュールについてですが、本日はひとまず顔合わせと方向性の確認だけさせてもらって、後日あらためて撮影とインタビューをお願いしたいと思っています。二、三時間程度まとめてお時間のとれる日ありますか?」

「まとめて時間を取ろうとすると、来月以降になるかな」

「でしたら、撮影とインタビューで日程を分けて、先に撮影を済ませてしまいましょうか。今月中に一時間程度お時間作れますか?」

「金曜の十一時頃でよければ。午後からは手術の準備があるから、短時間ではあるけれど」

金曜日とは、さっき中庭で『さっさとオペ終わらせて向かうから――』と話していたあの懇親会の日だろうか。

手術をさっさと終わらせることなんてできるのかしら? そんなことを悶々と考えながらも、気にしない振りで返事をする。
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