今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
六時間にも及ぶ大手術が終わると、時刻はもう夜になっていた。
眞木先生は自分の科の回診を終えると、モニター室にいる私を迎えに来てくれた。
「お疲れ様。疲れただろう?」
そう言ってペットボトルのスポーツドリンクを差し入れしてくれる。
まるで私が頑張ったみたいに言うけれど、実際はこのモニター室にこもっていただけでなにもしていない。
「疲れているのは私じゃありませんよ。手術されていた先生方です」
「君もずっと立って見ていたんだろう? 充分功労者だよ」
せっかくなので「ありがとうございます」とドリンクを受け取り、キャップを捻る。
「体力的な疲れより、精神的な消耗のほうが激しくて」
自分を落ち着かせるように、こくりとひと口、スポーツドリンクを飲んだ。
患者さんの心臓が止まりそうになった瞬間――思い出しただけでも手が震えそうになる。
モニター室まで警報音が漏れ響き、医師たちの目線から音源を辿ると、心臓モニターの数値が上がったり下がったり不安定に揺れていた。