今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
彼の目に宿る熱が消えてしまう前に話を聞きたい。

深々と頭を下げると、上から西園寺先生の深く重いため息が聞こえてきた。

「見ての通り、すっごくテンション低いから。おもしろいことは言えないよ」

「かまいません! 思ったまま答えてくだされば!」

「……少しだけなら」

そう答えると、彼は私を連れて手術室のあるフロアへ逆戻りし、脇にあるカンファレンスルームへと足を踏み入れた。患者の家族へ手術内容を説明したり、同意をもらったりする部屋だ。

そこに私を招くと、眞木先生に「先生はもう帰っていいですから」と雑に言い渡して部屋のドアを閉めた。

鍵をかけると、奥のチェアにどっしりと腰を据える。私はバッグを抱きしめて、その正面に座った。

「それで? なにを答えればいい?」

威圧的に私を見下ろす。

私はバッグの中の手帳とペンを取り出し、同時に携帯端末の録音ボタンを押して、彼にも録音中だとわかるようにテーブルに置いた。

「……医者になりたいと思ったきっかけを教えていただけますか」

「そんなことが聞きたいの?」

手術に関係のないことを聞かれ拍子抜けしたのだろう、彼が苦笑する。

少々面倒くさそうに髪をかきあげて「あー……」と迷ったあと、こちらに向き直り口を開いた。
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