今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「そういえば、院長先生が西園寺先生はオールラウンダーだと言っていました」

「救急の経験が多いからね。救急はいろんな患者が来るだろう? そういうときに、専門分野じゃないから処置に自信がありませんなんて言ってられない」

話を聞いているうちに、彼のことが少しずつわかってきた。

負けず嫌いでストイック。

できないのが嫌だからって、全身の医療を極めようだなんて、普通そんな極論には至らないだろう。もしかしたら、完璧主義者なのかもしれない。

少なくとも、軽薄でもいい加減でもない。技術と、それに基づく自信を持った立派な医師だ。

勘違いしてごめんなさいと、心の中で謝罪する。

「インタビュー、ありがとうございました」

「もう終わり? やっと落ち着いてきたし、今ならサービストークできる自信があるんだけれど」

「また後日にしておきます。疲れてらっしゃるでしょうし、あの患者さんの経過も見なくちゃいけないんですよね?」

先ほど手術を終えた患者さんは、今は集中治療室に入っていることだろう。手術が成功したからと言って、予断を許さない状況だと眞木先生も言っていた。

私もこのあと職場に寄って、今聞いた話を記事にまとめてしまおうと思う。

気持ちが熱くなっているうちに書いてしまいたいのだ。今ならいい記事が書ける気がする。
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