今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
眞木先生の思わぬ指摘に、バッと両耳を隠す。

頭の上で、西園寺先生がクスクスと笑みをこぼした。名残惜しいのか、いたずらし足りないのか、きゅっと抱きしめたあと私を解放する。

眞木先生が、私の表情をまじまじと観察したあと口を開いた。

「……白雪さんは、そういうことで大丈夫かな? その顔を見る限り、セクハラを受けてるってわけじゃないようだけれど」

その顔って、どんな顔? 眞木先生にはどう見えているのだろう?

「だ、大丈夫です」

「……なら、よかった」

眞木先生は微笑ましげにこちらを眺めたあと、手術室のあるフロアを出ていった。

眞木先生の姿が見えなくなったところで、重たい首をぎぎぎっと動かし、斜め上の西園寺先生を覗き込む。

「そ、それで、私を引き留めた理由はなんだったんですか?」

わざわざしがみついてまで行かせなかった理由を尋ねる。

「……別に。眞木先生とふたりきりになってほしくなかっただけだよ」

西園寺先生は、あっけらかんとそんなことを言う。

なにそれ? もしかして、私が眞木先生と不倫でもすると思っている?
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