今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「あの、どこへ?」
「タクシーに乗せる」
「電車で帰りますから、大丈夫ですって」
「言うことを聞いてくれないなら、俺の自宅に連れ帰るよ? ここから徒歩五分」
突然、西園寺先生が足を止め、私を壁に追い込み手をついた。
今度はなに!?と迫りくる彼に身を強張らせる。
「自宅で君と一緒に待機でもいいけど? 急変の連絡が来なかったら、朝までゆっくり楽しいことができるね?」
至近距離でささやかれ、身の危険を感じた私はぶんぶんと首を横に振る。
「た、タクシーで帰ります……」
「いい子だ」
西園寺先生がにっこりと笑う。昼間、患者さんに向けていた笑顔と同じものなのだけれど、今見るとどことなく胡散臭く見えてくる。たぶん、心の底から笑っているわけではないのだろう。
彼は演者だ。本性はとんでもなく狡猾で、きっと周りの人が思っているよりずっと身勝手な人。
西園寺先生に連れられ、外来の裏手にある夜間出入口で守衛さんにゲストカードを返却して外に出る。
この時間はまだタクシーが頻繁にやってくるらしい。西園寺先生はたまたま来た一台を止めて、後部座席に私を押し込んだ。
「引き続き取材を受ける代わりに、ひとつ、約束してくれないか?」
彼は後部座席のドアに手をかけて私を覗き込む。
「タクシーに乗せる」
「電車で帰りますから、大丈夫ですって」
「言うことを聞いてくれないなら、俺の自宅に連れ帰るよ? ここから徒歩五分」
突然、西園寺先生が足を止め、私を壁に追い込み手をついた。
今度はなに!?と迫りくる彼に身を強張らせる。
「自宅で君と一緒に待機でもいいけど? 急変の連絡が来なかったら、朝までゆっくり楽しいことができるね?」
至近距離でささやかれ、身の危険を感じた私はぶんぶんと首を横に振る。
「た、タクシーで帰ります……」
「いい子だ」
西園寺先生がにっこりと笑う。昼間、患者さんに向けていた笑顔と同じものなのだけれど、今見るとどことなく胡散臭く見えてくる。たぶん、心の底から笑っているわけではないのだろう。
彼は演者だ。本性はとんでもなく狡猾で、きっと周りの人が思っているよりずっと身勝手な人。
西園寺先生に連れられ、外来の裏手にある夜間出入口で守衛さんにゲストカードを返却して外に出る。
この時間はまだタクシーが頻繁にやってくるらしい。西園寺先生はたまたま来た一台を止めて、後部座席に私を押し込んだ。
「引き続き取材を受ける代わりに、ひとつ、約束してくれないか?」
彼は後部座席のドアに手をかけて私を覗き込む。