ロミオの嘘とジュリエットの涙
「そう。私、強くなったんだから。もう透に甘えて守ってもらうだけの妹じゃない。これからは対等にあなたを支えていける存在になるから」

「もう十分、なってるよ」

 ああ、駄目だ。絶対に泣かないって決めたのに、すでに目の奥が熱くて苦しくなる。私が必死に我慢しているのを悟ったのか、透が額にそっと口づけを落とした。

「ありがとう、結。俺が生きるための一番大事なものになってくれて。誰よりも幸せにする。兄としてではなく夫として」

 彼は私に手を差し出した。一筋縄ではいかなかった透との恋、そして結婚。手続きもお互いの気持ちも、すり合わせるのにものすごく時間がかかった。

 透の真意を知って、彼と離れてたくさん考えた。それでもやっぱり私には透が必要で、誰よりも好きな気持ちは変わらない。

 逆に透は私へのうしろめたさやらなにやらで、再会しても謝るばかりでなかなか自分の気持ちを正直に話してくれなかった。

 でも……。

「愛してるよ」

 やっと彼は想いを口にしてくれるようになった。じっと透を見つめていると打って変わって彼は意地悪く微笑む。

「こっちは血が繋がっていないって最初から知っていたから、ずいぶん複雑だったんだ。……もう誰に遠慮する必要もないな、結自身にも」

 お互いの気持ちを交わし合って、こうして結婚まで至ったのにまだ体の関係がないのは透なりのけじめなのかもしれない。

 私はおおいに不満だった。でも、それももう終わり……なんだよね?

「もう少し結のドレス姿を独占したかったけれど……行こうか。そろそろ時間だ、みんな待ってる」

 私は頷き、透の手を取った。彼との新しい関係が今、始まろうとしている。

 私はウェディングドレスの裾を持ち、満たされた気持ちでゆっくりと歩き出した。

 背徳感も罪悪感もなにもない、堂々とみんなの前であなたと永遠の愛を誓うキスを交わすために――

Fin.
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