嘘と愛

「どうかしたの? 」

 送ってきた楓に瑠璃が尋ねた。

「何でもありません。聖司君も年頃ですから」
 
 年頃と聞いて、瑠璃は何があったのか察しがついたようだ。

「ふーん。そうゆう事ね」
「でももう大丈夫ですよ、分かっているようなので」
「ならいいけど。夕飯できているわよ、早く食べて」

 楓はそのまま瑠璃と一緒にリビングに向かった。


 楓はずっと瑠璃に匿われて過ごしていた。
 無罪釈放され、保護司に住まいを提供してもらい暫くは隠れるように仕事をしていたが、偶然にも瑠璃と再会して。

 しばらく瑠璃が匿っていたが、再婚して城里家に来てからはこの広い屋敷で一緒に暮らしている。

 夫の城里秋季(しろさと・しゅうき)は、現在は海外の病院で研究に励んでいて、日本にはいない。

 瑠璃も個人開業医して順調に進んでいる。



 聖司は夕飯を食べて、お風呂に入りすぐに部屋に行き休むと言った。
 自分の負けは分かっているが、まだ気持ちの整理ができていないようだ。

 聖司が部屋に行った後、楓は大まかにあだが聖司が零を無理やり連れて行こうとしていたことを瑠璃に話した。


「え? 聖司が零ちゃんを? 」

 リビングで楓とお茶を飲みながら聞いていた瑠璃が驚いている。

「仕方ないわよね、人を好きになる気持ちは止めっれないから」
「そうね」

 お茶を飲んで一息ついた楓は、じっと瑠璃を見つめた。

「あの。私、そろそろここを出て行こうと思うのですが」
「え? どうして? 」
「だってここは、私の家じゃないですから。それに、城里さんにも悪いので」

 瑠璃はじーっと楓を見つめた。

「ねぇ、もしかして。好きな人できたの? 」
「え? 」

 図星を指され楓はちょっと赤くなった。

「やっぱりそうなのね? 最近、様子が変だって思っていたのよ。この前なんて、急に外泊するなんて驚いたもの。で、どんな人なの? 今度、紹介してくれる? 」
「あ…あの…」

 ちょっと言いずらそうに、楓は視線を落とした。

「どうかしたの? 」
「い、いえ…。その…」

 少し困ったように俯いていしまう楓。
 その顔を見て、瑠璃はピンときたようだ。

「ねぇ。もしかして、お相手って。…あの時の彼? 」

 少し迷った目をした楓だが、ゆっくりと頷いた。

「え? 本当? 」
「はい…。前にぶつかってしまって、携帯電話を取り違えてしまって。どうしても会わなくてはならなり。でも、ずっと連絡をしなかったのですが。偶然にも、あの人とは会てしまうようで。…姉さんとは、ずっと籍を入れないままでいてると言われて…」

 瑠璃は小さく笑った。
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