嘘と愛

「あんたが妊娠しているって知った時、きっと幸喜さんの子供だって思ったの。あんたに幸喜さんを紹介した時、なんとなく2人の間に繋がっている感じがしたわ。だからわざと、あんたが帰って来るのを見かけて家の前で幸喜さんにキスして見せたの。予想通り、あんたは姿を消した。どこに行ったか知っていたけど、知らないふりをして。あんたを探してあげるふりをして、幸喜さんに結婚を迫ったの。案外あっさりと承諾してくれて、ちょと驚いたけどね」

「そう…」

「結婚しても、幸喜さんは一度も私を抱こうとはしなかった。私も、そんな気はなかったから。他の男と好き勝手やって、お金も使いたい放題使ってやったわ。でも結婚したら、当然求められるのは子供ね。幸喜さんのご両親から「子供はまだ? 」って言われた時は、正直ちょっと焦ったわ。今更子供は産めないって、言える状況じゃなかったし。だからとりあえず、体外受精で子供を作ろうって提案したの。そうしたら、あっさり承諾してくれて。偶然にも、あんたが妊娠していて好都合だったわ」

 面白おかしく話しているディアナの目が、ちょっとだけ曇った。

「あんたに子供を産み渡してって頼んで、引き受けてくれて。これで嘘でも、母親になれるって思ったけど。いざ産まれてきた子供を見ると、可愛いどころか逆に憎らしくなってしまったの。2人とも。あんたと幸喜さんにそっくりで、2人の愛の結晶ってやつを見せつけられているようでね。だから誘拐事件を演じて、2人とも殺してやろうって思ったのだけど。邪魔されてできなかったわ」

 笑いを浮かべたディアナの目が、ちょっとだけ潤んだ…。
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