エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
詩織は突っ立ったまま思い悩む。
ナワポンは食器棚に全ての食器を片付け終えると、詩織の背中をバシッと強めに叩いた。

「欲しいなら、動かないとなにも手に入らないね」
「そう、ですよね……」

後ろ向きな気持ちが前向きに戻される。
よく言えば素直で、悪く言えば流されやすい。それも詩織の元からの性格だ。

交際を求めるのではなく、まずは好意があることを伝えてみようと決意する。
矢城にもう少し近づきたいという、純粋な恋心ゆえのことだ。

「私、気持ちを伝えます」とナワポンに宣言したら、階段を下りてくる美緒の足音と元気な声がした。

「矢城先生と赤沼くん、絵しりとりしよー!」

昔からある、絵を書いてしりとりをする遊びは今、美緒の学級で流行っているそうだ。
詩織も二度ほど付き合ったが、美緒の方が絵が上手で感心した。

赤沼は「やらない」とクールに拒否しているが、「美緒に勝ったら矢城先生になでなでしてもらえるよ」と言われて「やろう」と参加を表明している。

矢城のあくびが聞こえた。
やる気がなくても矢城は大概、美緒に甘いので遊んであげると思われる。

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