エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
十日も待っていたチャンスだというのに、いざとなると鼓動が激しく鳴り立てるばかりで、想いをすんなりと言葉にできない。

(お芝居だと普通に言えたのに、どうしてこんなに言いにくいの……)

思えば詩織から異性に告白するのは初めてである。
初恋は小学二年生の時で、それ以降も人並みに恋をしたつもりだが、小中学生の時は付き合いたいという希望はなく、ただ好きだと思いながら相手を眺めているだけだった。

初めて彼氏ができたのは高校一年生の時。
隣のクラスの男子生徒に交際を求められ、詩織もかっこいいと思っていた人だったので付き合うことにした。

けれども、お互いに消極的な性格だったためか、何度かデートをしても会話はほとんどなく、キスも手を繋ぐこともなく自然消滅してしまったのだ。
その次の恋愛が、小関とである。

つまり詩織は恋愛経験が乏しいので、人生初の自分からの告白に、必要以上に緊張してしまう。
その結果、「あの」を数回言って、口を閉ざした。

(出直そう。今夜は無理みたい……)

「すみません。なんでもないです。お休みなさい」

寝るには早い時間だが、会釈して背を向けた。

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