エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
高さ違いの食卓テーブルがふたつ並んで置かれ、二口コンロの台所と割れてガラスを失った食器棚。洗濯機に後付けのシャワーボックス。
天井から吊るされたピンチハンガーには、矢城のシャツと靴下、ボクサーパンツが干してある。

乾いても、たたんで仕舞う様子はなく、ここから取ってまた着ているようだ。
食卓テーブルの上は、日用品がごちゃごちゃと詰まれ、洗濯機前には矢城が寝間着にしているスウェットが脱ぎ捨てられていた。

詩織はスウェットを拾って洗濯機に入れる。
この生活スペースは詩織も使わせてもらっているので、できれば綺麗にしたい。
けれども矢城に、こう言われている。

『詩織ちゃんはうちの事務員。家政婦として雇ってはいないよ。掃除は事務所スペースだけでいいから。こっち側は放っといてくれ。片付けたって、どうせ俺がすぐに散らかす』

(矢城先生はすごくいい人だけど、ちょっとだらしないのよね……)

丸盆を台所に片付けて、事務所スペースに戻った詩織は、赤沼の机を借りてノートパソコンを広げた。
詩織の机が用意されていないのは、置く場所がないからだ。

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