エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「元女優だから美人なのは言うまでもない。最近は陰が消えて明るくなり、あなたに微笑まれるとつられそうになる。今日のように胸糞悪い依頼の後には特に癒される心地だ。美しさと可愛らしさ、癒しの力を併せ持ったあなたの笑顔は、男心を撃ち抜く凶器に思える。無自覚なのがまた恐ろしい」

赤沼は不愉快そうに眉を寄せている。
けれども詩織は顔を熱くし、目を丸くして彼を見上げていた。

(赤沼さんが女性に興味がないのは知っているけど、そんな言い方をされたら……)

赤沼の斜め後ろで、矢城がブッと吹き出して笑った。
ネクタイを緩め、スーツのジャケットを脱ぎながら、赤沼と詩織をいっぺんにからかう。

「さすがは詩織ちゃん。赤沼までも虜にするとはな」
「先生、おかしなことを言わないでください。僕は先生を奪われないようにと――」
「誰がどう聞いても、口説いているようだったぞ。いいんじゃないか。女に興味がなくたって、この子だけは特別だというのがあってもおかしくない。年齢もちょうどいい」

今度は詩織が「先生!」と抗議する。

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