エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「どこに事実誤認が? 先生まで顔が赤いですよ」
「それは、お前が首を絞めるからだろ」

赤沼が矢城のネクタイを掴んで、自分の方に引き寄せようとしている。
矢城は苦しげで、詩織は焦って赤沼の腕にしがみついた。

「赤沼さん、やめてください! 私、矢城先生にならなにされても構わないので、どうか……!」
「誰が恋敵の心配をしているんだ。君に手出しはさせない。先生、キスしたいなら、ぜひ僕と」

そこにおやつを食べに階段を駆け下りてきた美緒も加わる。

「あー! 三人で三角関係してる。ずるいよ。美緒も矢城先生の取り合いする!」

「お前たち、落ち着け!」という矢城の声がむなしく響く。
おそらく矢城は今、『モテる男はつらい』という言葉を噛みしめているのではあるまいか。

入口近くで四人がドタバタしていると、「あの」と声をかけられた。
来客だ。

それで騒ぎはいったん収まり、美緒は衝立の裏の食卓テーブルに、赤沼は自分の机に、矢城は対応にあたる。
詩織はコーヒーを出そうと動きだした。

応接テーブルで矢城と向かい合うのは、女子高生とその母親だ。
無料相談に訪れたというが、本来なら予約が必須である。
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