エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
七海が気まずそうに母親をチラリと見て、矢城に言う。

「無料相談だと聞いたから来たんです。依頼なんて……高いから無理。うちは母子家庭でお金に余裕はありません。それなのにお母さんは私がバイトすることに反対するし、勉強して大学に行ってほしいって。私はそんなの望んでない。お母さんはもう少し自分のものを買ったり、やりたいことをすればいいのに……」

(優しい子なんだ。だからいじめに耐えようと。なんとかしてあげられないかな……)

娘の気持ちを聞いた母親は、ますます困り顔だ。
費用の心配はいらないと言えない情けなさを噛みしめているようにも見える。

詩織は矢城の横顔を見つめる。
(先生なら、助けてくれますよね……?)

法律事務所は慈善団体ではなく利益は必要だとわかっていても、矢城の善意と正義感に期待してしまう。

それに応えるように矢城が口を開く。

「費用は五千円でどうでしょう。無料と言いたいところですが、経費の処理の問題もありますので」

母娘は同時に驚いた顔をする。

「そんなにお安いんですか? ぜひお願い――」

喜びかけた母親の腕を娘が掴んだ。

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