エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
七海がポカンとした顔を詩織に向けていた。
不安定で守ってあげたくなるような、あどけなさを表情に表している。

その瞳がたちまち潤み、両手で顔を覆って泣き始める。
本当は耐えがたいほどつらかったのに、母親に心配をかけたくないと強がっていたのだろう。
今やっと救われる希望が見えて、素直に泣くことができたようだ。

「弁護士先生、お願いします。私を助けて……」

涙に声を震わせて矢城に依頼をした娘を、母親も目を潤ませて抱き寄せた。

「必ず助けますよ」

頼もしくそう言った矢城が、視線を詩織に向けた。
説得してくれてありがとうと言いたげに目を細める彼に、詩織はこそばゆい思いで微笑み返す。

(自分のことを話しただけだけど、お役に立てたならよかった……)

間もなく夕暮れ。
わずかに赤みを帯びた柔らかな陽光が、レトロな風合いの法律事務所を優しく照らしていた。


「矢城先生、私も嬉しいです。七海さんはこれから楽しい高校生活を過ごせそうですね」
「そうだといいが」

吉野母娘が無料相談に訪れてから二週間ほどが経っていた。
矢城はすぐに動いて、揃えた証拠と改善要望書を持って学校と交渉した。

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