エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
(私、やっぱり欲張りでわがままだ。矢城先生が好きでたまらない。抑えるのが苦しい。ううん、抑えたくない。先生にも私を好きになってもらいたい……)

矢城に向き直った詩織は、挑戦的な上目遣いで見つめた。

「先生、慌てても、もう遅いですよ」
「俺はまた、煽ってしまった……?」
「はい。先生のひと言にドキドキしたり苦しくなったり、心の中は忙しいです。教えてください。どうしたら私の想いは実りますか?」

詩織は矢城に体を寄せ、ためらいがちに腕を回してみた。
自分から迫っておきながら、恥ずかしさに真っ赤になり、鼓動は振り切れんばかりだ。
ワイシャツ越しに矢城のしなやかな筋肉を感じて、心には少しの余裕もない。

「詩織ちゃん……」

詩織の行動に純粋な必死さを感じたのか、矢城は冗談でかわすことはしなかった。
詩織の背に、矢城の指先が触れる。
抱きしめ返してくれるのかと期待したが、残念ながら温もりを感じる前に感触は消えてしまう。

矢城の手は詩織の頭に置かれ、撫でながら静かに息をついた。

< 135 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop