エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
小関が既婚者だと知ったのは雑誌掲載によって。
まだ芸能界の情報に疎く、世間知らずで、自分が馬鹿だったと反省しつつも、詩織なりに騙されたことを懸命に主張した。

所属事務所のマネージャーは『わかったよ。清良を信じる。後は任せて』と言ってくれたのに……。
詩織に全ての非があるという内容の謝罪文を書かされ、公開されたあげく、契約を打ち切られたのだ。

住んでいたワンルームのマンションは事務所名義なので退去を命じられ、小関の妻に慰謝料として五十万円を支払わされた。
五十万円は、ほぼ全財産。文字通り、詩織は全てを失った。
東北の田舎の家族は戻ってこいと言ってくれたけど、マスコミに追われている身では迷惑をかけると思い、帰れずにいる。

これが、このひと月半ほどの間に起きたことであった――。

(ひとつ、よかったことと言えば、小関さんと葉山裕子さんが離婚にならなかったことよね。小さなお子さんがいるんだもの。私が悪者になれば、家庭は壊れずに済む。これでよかったのよ……)

ノートパソコンの画面の“離婚訴訟”の文字を見つめて、詩織はそう思い込もうとした。
本音を言えば、悔しさは否めない。
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