エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
けれども不倫騒動で疲れ果てた心では闘う気になれず、名誉回復よりも、ただ静かに世間が忘れてくれる日を待ちたいと願う。
(私は大丈夫。住む場所も仕事も与えてもらえた。矢城先生も、ここの皆さんも、私を拒否せず受け入れてくれたから……)
“皆さん”というのは、この建物の二階の住人のことだ。
アパートとして三部屋を貸しており、今は満室。
一室は赤沼が使用している。
階段は事務所の玄関横の内側にあるため、アパートの住人たちとは毎日顔を合わせている。
詩織が不倫騒動渦中の元女優であることに誰も触れてこないのは、矢城が根回ししてくれたからに違いなく、おかげでここでの暮らしは心穏やかでいられた。
矢城への感謝を新たにして、慣れない仕事に集中すること三十分ほど。
相談室のドアが開き、三人が出てきた。
男性客の表情は、ここへ来たときに比べると、幾分ホッとしているように見える。
「では、明後日の十一時にお待ちしております」
木目の玄関ドアの前で矢城が男性客を見送る。
どうやら、債務整理の正式な仕事依頼を受けたようだ。
顧客が帰ったため、矢城と赤沼は自分の机に戻る。
(私は大丈夫。住む場所も仕事も与えてもらえた。矢城先生も、ここの皆さんも、私を拒否せず受け入れてくれたから……)
“皆さん”というのは、この建物の二階の住人のことだ。
アパートとして三部屋を貸しており、今は満室。
一室は赤沼が使用している。
階段は事務所の玄関横の内側にあるため、アパートの住人たちとは毎日顔を合わせている。
詩織が不倫騒動渦中の元女優であることに誰も触れてこないのは、矢城が根回ししてくれたからに違いなく、おかげでここでの暮らしは心穏やかでいられた。
矢城への感謝を新たにして、慣れない仕事に集中すること三十分ほど。
相談室のドアが開き、三人が出てきた。
男性客の表情は、ここへ来たときに比べると、幾分ホッとしているように見える。
「では、明後日の十一時にお待ちしております」
木目の玄関ドアの前で矢城が男性客を見送る。
どうやら、債務整理の正式な仕事依頼を受けたようだ。
顧客が帰ったため、矢城と赤沼は自分の机に戻る。