エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「ナワポンさん、そのママさんのお店、教えてください」
「行くの?」
「はい。あの、矢城先生の話を……」

矢城の過去を知りたいと言えば呆れられるだろうかと、詩織は口ごもる。
いけないことをしようとしている気もして首をすくめたら、ナワポンに笑われ、強めに肩を叩かれた。

「詩織ちゃん、恋も一生懸命ね。先生は意外と意気地なしだから、詩織ちゃんが頑張るしかないね。話を聞きに行くといいよ」

メモ用紙に店の名前と、大まかな所在地を書いてくれたナワポンは、手を振って玄関を出ていく。
「いってらっしゃい」と見送った詩織は、もらったメモ用紙に視線を落とした。

(『ニューハーフバー・レディーアマンダ』。ここに矢城先生の友達が。突然訪ねても、話を聞かせてくれるかな……)

その時、目の前のドアが開けられて、詩織は肩をビクつかせた。
矢城が帰ってきたのだ。
玄関前にたたずんでいた詩織に、不思議そうな目が向けられる。

「お出迎え?」
「あの、今、ナワポンさんのお見送りをしたところだったので……」

メモ用紙を慌てて背中に隠す。
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