エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
階段で二階へ上がり、紫の地に白抜きの英文字で、『レディーアマンダ』と看板に書かれたドアを開けた。

控えめなジャズのBGMに被せるように、店員と客の談笑が聞こえている。
十席のL字型バーカウンターがあり、詰めれば八人ほど座れそうなボックス席が五つ。

今日は平日なのでそれほどの客入りはなく、四人組のサラリーマン風の客と、中年カップル、個人の男性客が三人いるだけだ。
それぞれに接待のスタッフがついている。
ニューハーフの店なので、煌びやかな衣装に濃いめのメイクをした、戸籍上の性別は男性という従業員ばかりだ。

矢城は迷わずカウンター席へ。
L字の曲がり角の席が、常連の彼の定位置である。

腰かけるとすぐに「浩ちゃん、いらっしゃい」と美女に艶のある声をかけられた。

「最近、よく来るわね」
「俺の顔は見飽きたか?」
「そうね、美男子は三日で飽きるというものね」
「それを言うなら、美人だろ。ここは居心地がいい。邪魔でも居させてくれ」

「お好きなだけどうぞ」と色っぽく笑う彼女は、この店の経営者で、矢城の高校時代のクラスメイトだ。
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