エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「おかわり」と空のグラスを押しやれば、ウイスキーのソーダ割りを返された。

「ピッチが速すぎるわ。どうしたのよ。綾のことは傷なんでしょうけど、今さらよね。酔ってしまいたい理由は、他にあるんじゃない? 当ててあげましょうか?」

矢城は断れない。
綺麗にネイルを施した指先で、カシューナッツを口に押し込まれたからだ。
ジュリアの赤い唇が、ニッと弧を描く。

「気になる子ができたんでしょう? 本当は抱きしめたいのに、古傷のせいで躊躇している」

言い当てられた矢城は、内心ギクリとしていた。
けれどもため息をついただけで答えず、口の中のナッツを噛み砕いてウイスキーで流し込む。
それでもジュリアは推測を事実として、勝手に話を進める。

「浩ちゃんの心の枷になっていると知ったら、綾だって迷惑よ。恋愛できない理由を、私のせいにしないでと言うと思うわ」
「綾のせいにしているつもりはない」
「そう見えるのよ。そんな理由でふられる方もたまったものじゃないわよ。詩織ちゃんに同情するわ」

詩織の名を出され、矢城はグラスを宙に止めた。
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