エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
それで三日連続、友達と食事会だと嘘をついて出かけていたのかと、矢城は納得した。
悪い男に引っかかっていたのではないことにホッとし、グラスに口をつけたが、また眉間に皺が寄る。

(待てよ。一昨日はこの店に来たとして、昨日と今日はどこに行っているんだ? 綾の件を語れる友人は他にもいるが、今は付き合いがない。詩織ちゃんは、この店以外に俺の古い知り合いにたどり着けないだろう。ということは、まさか……)

来店時から時折、ジュリアの視線が足元に向くのが気になっていた。
床に濡れている場所でもあるのかと勝手に思っていたが、そういうことらしい。

矢城はため息をついて呼びかけた。

「詩織ちゃん、出ておいで。そこにいるんだろ?」

ジュリアが少しも悪びれる様子もなく、「あら、バレちゃったわね」と笑った。

カウンター裏のジュリアの隣に、詩織がゆっくりと立ち上がる。
黒いエプロンを着て、グラスと布巾を手にしているところを見ると、しゃがんでグラス磨きをしていたようだ。
本当にアルバイトをしていたのかと、矢城は詩織とジュリアに呆れた。

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