エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
詩織は怒られる前の子供のように首をすくめ、上目遣いに矢城を見ている。
悪いことをした自覚はあるようだ。

詩織を叱るに叱れず、非難の視線をジュリアに向ければ、余裕たっぷりに言い訳される。

「浩ちゃんは大切な友人だから、あなたのいないところで勝手にあなたのことを教えるのは嫌だったの。でもこうすれば、詩織ちゃんに打ち明けたのはあなた自身になる。恨まないでね」
「ったく……」

矢城は財布から一万円札を数えずに数枚出し、「迷惑料込みで」とカウンターテーブルに置いた。

「気前がいいわね。それとも可愛い子の前でかっこつけたいのかしら?」とジュリアが笑う。
「まぁな」と疲れた声で受け流した矢城は、「帰るぞ」と詩織を促した。

「は、はい」

詩織は深々と頭を下げてジュリアにお礼を言い、それから小走りに奥の扉へ。
そこに入ったと思ったら、エプロンを脱いで半袖ワンピース姿になり、ショルダーバッグを手にしてすぐに出てきた。

待たせてはいけないと走ってくるので、矢城の手前でつんのめり、転びそうになる。
詩織の腹部に片腕を回すようにして、矢城が抱きとめた。

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