エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
細身でも柔らかな詩織の体は抱き心地がいい。
下ろし髪からふわりと甘い香りもして、男心を刺激する。

「危なっかしくて、目を離せないな」

腕の中の詩織を見つめてそう言うと、彼女は途端に顔を赤らめて目を泳がせた。

「すみません……えっ? あ、あの……」

矢城は指を絡めて詩織の手を繋いだ。

スラリと指が長い分、女性の平均よりは大きそうだが、矢城にしてみれば小さく華奢な手だ。
冷えているのは緊張しているからだろう。
合わせている手のひらから彼女の動悸が伝わってくるようで、そのウブさが可愛くてたまらない。

(男に騙されて酷い目に遭っても、怯えながら耐えるだけだったのにな。こんな企てをする度胸が、詩織ちゃんのどこにあったんだ。まぁ、盗み聞きを持ちかけたのはジュリアなんだろうが……)

ビルを出ても矢城は手を離さない。
詩織を引っ張るようにして、夜道を黙々と歩く。
駅まで行けば客待ちのタクシーを捕まえられるだろうと、そこを目指していた。

沈黙に耐えかねたように、詩織が恐々と口を開く。

「矢城先生、あの、勝手なことをしてすみませんでした。怒ってますよね……?」

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