エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
必要に迫られたら、過去の愚かだった自分の経験を話してもいいと思っているが、詩織に聞かれたら正直に言えず、ごまかしてしまいたくなるのはなぜなのか。

(ジュリアに、かっこつけたいのかと指摘されたな。当たりかもしれない。詩織ちゃんの前では常に頼れる男でありたいと、かっこつけてしまうようだ。俺はたぶん……彼女に惚れている)

初めて出会った時、やたらと綺麗な子だと思ったが、矢城は一目惚れするような感覚優先のタイプではない。
捨て猫のようだった詩織を保護して助けてやらなければという、弁護士としての正義感、百パーセントで接してきたわけだが、徐々にそこに久方振りの欲情が染みていった。

しおれて枯れかけていた彼女に、安心という水を吸わせれば、透明感のある美しい笑顔の花を咲かせてくれた。
それは矢城にとってなににも勝る報酬で、逆に安らぎを与えられたように感じた。

彼女は素直で優しく純朴で、恋の熱に潤んだ瞳で見つめられたら、抱きしめたい衝動に駆られてしまう。
それを抑えるのに、最近は苦労していた。

そんな自覚はあるというのに、惹かれる心に『たぶん』をつけて、守りに入ろうとしてしまう。
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