エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
『非力なお前は大切な女を作ってはいけない。守り抜ける自信があるのか?』と、過去の自分に罵られるからである。

(詩織ちゃんなら、いずれ幸せにしてくれる男が現れるだろう。こんな歳の離れたしょうもないおっさんじゃない相手が。これ以上、踏み込ませてはいけないな。詩織ちゃんの熱を冷ましてあげないと……)

揺れ動いたかのように見えた矢城の心は、結局もとの着地点に落ち着く。

詩織はまだ期待を込めた目で矢城をまっすぐに見ていた。
綾の件に関し、『聞いたら、教えてくれたんですか?』という問いに、矢城はまだ答えていない。
それを待っているのだ。

矢城は前髪を掻き上げると、真面目な雰囲気から表情を一変させ、嫌な笑みを浮かべて見せた。
ニヤニヤと、下心丸出しのおっさん風の笑みだ。

「えっ……?」

戸惑う詩織の腰を引き寄せ、両腕に閉じ込めると、わざと下唇を湿らせる。

「なんでも教えてやるよ。ベッドの中でな。詩織ちゃん、ひとりしか男を知らないだろ? いやらしいことを、俺がもっと教えてやりたい。いいだろ?」

周囲にはちらほらと通行人がいて、酔っ払いが冷やかしながら横をすり抜けていった。
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